遺伝カウンセリングチーム

よくある質問

うちの子供は生まれながらに手足に異常があり、成長の過程で発達の遅れや知的障害などの問題が起こり始めました。これはどのような遺伝性疾患なのでしょうか。どんな遺伝子検査を受ければよいのでしょうか。また、今後出産を希望する場合、どのような検査を受けるとる子供にこのような問題が起こらないようにできるのでしょうか。

多くのまったく異なる病気も、その臨床結果では似たような特徴が現れることがあります。例えば、多くの病気には知的障害や発達障害および特徴的な外見などの症状が見られます。しかし、遺伝子検査の選び方は病気によって異なり、各病気の検査方法および検査する遺伝子も異なります。そこで、まず家系による病気の病名と状況を正確に診断することで、それぞれの病気に合った遺伝子検査の有無をはっきりとさせることができます。


まずお子様を病院へお連れになって、小児科または遺伝医学科で医師の診断を受け、お子様の正確な発育状況と問題の発生原因をしっかり把握することをおすすめします。それにより、医師が臨床状況から適切な遺伝子検査の有無を判断します。


遺伝性疾患の種類は非常に多く複雑です。そのため診断のプロセスには十分な準備が必要で、個人の全治療歴、家系、各器官の検査データなどを細かく収集する必要がある(これらの情報はすべて遺伝性疾患の特定に役立ちます)ため、専門的な訓練を受けた医療スタッフによる診断と経過観察が必要になります。創源は多くの検査サービスを提供していますが、医療機関ではないため専門医に代わり診断や判断することはできません。専門医療スタッフの診断を受け、病気の原因が判明すれば、妊娠に対する必要な検査のサポートができます。

 
妊娠中ですが、胎児の知的障害や自閉症が心配です。どのような出生前検査を受ければいいのでしょうか?

一般的に医学界では知的障害や自閉症は様々な要因によるもので、多くの要素が脳の発育に影響を及ぼすと考えられています。知的障害や自閉症を引き起こす可能性があるものとして、染色体や遺伝子の異常、妊娠期や出生後のウイルス感染、新陳代謝疾患、脳損傷、環境的要因、その他まだ解明されていない要因などがあります。このように知的障害や自閉症を引き起こす可能性がある原因は非常に多く複雑であることから、既知・未知のものを含め、現在の医療技術と検査技術は日々研究を積み重ね進歩していますが、まだ検査ですべての知的障害や自閉症、先天性異常または難病などに対してスクリーニングはできていません。産婦人科の医師と相談しながら、個人の臨床状況をもとに医師が勧める出生前検査を行うことをおすすめします。

 

遺伝カウンセリングとはどのようなものですか?

遺伝カウンセラーはオーダーメイドの医療サービスを提供することにより、複雑な遺伝子について分かりやすく患者やそのご家族に説明し、まず遺伝性疾患の原因、遺伝子パターン、管理について、そして遺伝子検査の活用、制限、結果の判読についてもご理解いただくと共に患者とご家族の心理的、生理的、家庭への影響などについても話し合っていきます。遺伝カウンセラーは指導な的立場ではなく、中立的立場で検査前および検査後のカウンセリングを行い、患者のご家族がリスクや遺伝性疾患のスクリーニングの意義をしっかりとご理解いただきインフォームドチョイスができるようにサポートします。


アメリカの遺伝カウンセリング学会の定義では、遺伝カウンセリングとは遺伝性疾患がもたらす医療、心理的、家族への影響についての理解と適応のプロセスをサポートすることを指します。このプロセスをまとめると、

  • 家系や個人の病歴を分析し、患者の発症や再発の可能性を判断する

  • 遺伝性疾患に関する遺伝、検査、管理、予防、リソース、研究について啓蒙

  • インフォームドチョイス、または疾患そのものやリスクへの適応をサポートする

“Genetic counseling is the process of helping people understand and adapt to the medical, psychological and familial implications of genetic contributions to disease. This process integrates:

  • Interpretation of family and medical histories to assess the chance of disease occurrence or recurrence.

  • Education about inheritance, testing, management, prevention, resources and research.

  • Counseling to promote informed choices and adaptation to the risk or condition."

~ National Society of Genetic Counselors

 

遺伝子検査で異常が見つかった場合はどうすればいいですか?

​遺伝子検査方法は多様なため、異常のタイプも一様ではありません。その結果が示す臨床的意義も検査のタイミング(出生前あるいは小児検査)、個別の臨床結果および個人病歴や家系、他の検査と照らし合わせた総合的な結果は異なります。時にはもう一度詳しく検査をしないと正確な臨床結果が得られない場合もあります。ですから、単一の遺伝子検査の結果から臨床の重要性と管理方法に異常があると判断するのは困難です。まずは関連医療スタッフにご相談ください。

 

出生前の羊水検査、超音波検査はすべて正常でした。これは健康な赤ちゃんが必ず産まれるということでしょうか?また、出産後に新生児スクリーニング検査やその他の検査を受ける必要があるでしょうか?

​出生前の羊水検査および超音波検査が正常な場合、胎児の先天性異常の危険性は低くなります。しかし、赤ちゃんが難病やその他の先天性疾患、先天性異常を持って生まれてくる可能性も否定できません。現在、遺伝子検査技術は日進月歩で進歩していますが、今の科学技術の現状ですべての問題を網羅する出生前検査や技術はありません。ですから、産婦人科の医師に相談し、医師が勧める出生前検査を受けることをおすすめします。


新生児スクリーニング検査では多くの先天性異常の代謝疾患を早期発見できます。このタイプの先天性異常の代謝疾患の多くは出生前の羊水検査では検出できません。しかし、代謝疾患によっては新生児スクリーニング検査による早期発見・早期治療で大きな治療効果が期待できます。ですから、妊婦健診がすべて正常であっても新生児スクリーニング検査の重要性を医師と話し合うことをおすすめします。

 

家族はみな健康ですが、それでも難病や遺伝子的に問題のある子供が生まれる可能性はあるでしょうか?

​家系的に異常が無い場合で、お子様に難病や遺伝子変異が起こる原因

  • 自発性突然変異
  • 両親は健康だが潜在的遺伝性疾患の保因者
  • その他の後天性、外的要因あるいは非遺伝子要因によるもの

上記のことから家系的に疾患がない夫婦間においても疾患を持ったお子様が生まれる可能性があります。
すべての胎児の約3~5%は遺伝子になんらかの問題を持って生まれます。しかし、現在の科学技術ではすべての問題を網羅する出生前検査および技術はありません。ですから、まず産婦人科の医師に相談し、医師の勧める出生前検査を受けることをおすすめします。

 

どのような人に遺伝カウンセリングの受診が必要でしょうか?

​一般的に遺伝カウンセリングの対象は、出生前検査で問題があった妊婦、婚前カウンセリング、難病の診断を受けた患者の家族に限定されます。しかし実際にはその対象はとても広く、上述の方以外にも、リスク要因がある家系、超音波の異常、高齢出産などの理由で出生前検査のメリットとデメリットを詳しく知りたい妊婦の方、不妊症の夫婦、子供や成人で遺伝性疾患の疑いがある方、癌患者とその家系の方、遺伝性疾患または遺伝子検査に興味があり理解を深めたい方などが含まれます。
遺伝カウンセラーは指導的立場ではなく、中立的立場で検査前および検査後のカウンセリングを行い、患者のご家族がデータを理解し意思決定ができるよう、リスクや遺伝性疾患のスクリーニングの意義をしっかりと説明します。

 

出生前の羊水検査でグルコース6リン酸脱水素酵素欠乏症(Glucose-6-Phosphate Dehydrogenase Deficiency, G6PD Deficiency)のスクリーニングは可能でしょうか?

​現在、グルコース6リン酸脱水素酵素欠乏症に対する有効な出生前スクリーニング検査はありません。しかし、出産後に新生児スクリーニングをすれば発見でき、早期治療と予防が可能です(もしご家族にグルコース6リン酸脱水素酵素欠乏症の方がおり、その方自身の遺伝子検査から原因遺伝子が判明している場合、その家系特有の原因遺伝子に対し羊水検査を行うことで正確な診断ができる可能性があります。詳しくは関連医療スタッフにご相談ください)。