妊娠中毒症スクリーニング
妊娠高血圧症候群リスクアセスメント
妊娠高血圧症候群は、妊娠時に母子の生命を脅かす可能性がある病で、以前は妊娠中毒症と呼ばれていました。妊婦は妊娠20週以降に血圧上昇(6時間以上の間隔で2回収縮期血圧が140/90mmHg以上)し、さらに蛋白尿と全身性水腫が伴う症状を「妊娠高血圧症候群」と定義しています。
ここ5年の「台湾衛生福利部」の統計資料によると、妊娠高血圧症候群の台湾地域での発生率は約2~8%で、妊産婦の三大死亡原因の一つとなっており、毎年世界中に約5万人の妊婦が妊娠高血圧症候群、もしくはその関連する合併症で不幸になくなっています。また、早産もしばしば発生しており、推定では早産の約15%は妊娠高血圧症候群患者の子宮内に胎児の成長状況が悪く、母親の妊娠高血圧症候群の病状のコントロール及び胎児の生命の安全を確保するために、産科医が胎児の早期出産を提案しなければなりません。
スクリーニングにより、自分がハイリスクグループに属するかがわかり、それはより妊娠高血圧症候群の発生を予防し、該当疾患による害を抑えるのに有効です。世界保健機関(WHO)とイギリスの国立医療技術評価機構(NICE)とともに妊娠高血圧症候群の予防と治療のため、ハイリスク妊婦が低用量のアスピリンを服用することを推奨しています。最新の文献にもより、妊娠16週以前に低用量のアスピリン治療を始めた母親は妊娠高血圧症候群発生のリスクが80%も減少し、胎児の死亡リスクも60%減少しました。
▲2005年世界保健機関(WHO)が公表した妊産婦の三大死亡原因は、羊水塞栓症、子癇症、産後の大出血です。 妊娠高血圧症候群が起こる原因
学者の研究により、妊娠高血圧症候群は、胎盤の着床過程の中に病変が起きたによるもので、根本的な原因は胎盤にあると思われ、胚着床時からすでに変化が表れています。胚の着床後、栄養膜細胞層が子宮の脱落膜細胞に侵入する力に頼らねばならず、母体と血液交換を行う螺旋動脈内の内膜平滑筋層の退化が起き、子宮の螺旋動脈が拡張して抵抗が下がることで、胎児の成長過程に必要な大量の血液が供給されます。しかし、妊娠高血圧症候群の妊婦の栄養膜細胞層は、なんらかの原因により、脱落膜細胞に侵入する力に問題があり、融合現象が起こりにくく、子宮の螺旋動脈内の内膜平滑筋層が妊娠第8~17週の時に退化せず、張力が維持されて抵抗が上がります。これにより血管内皮細胞の傷つき、血栓、血小板活性化と胎盤機能低下などの一連の反応が起こり、胎児へ供給する血液と養分の量も大幅に減少します。